アメリカのオバマ政権が新たな国防戦略の基本方針で、軍備増強を進める中国を念頭に、アジア太平洋地域への展開能力を強化していく方針を明確にしたことについて、中国のメディアの一部は、警戒感を示しています。

オバマ政権が発表した新たな国防戦略について、中国政府の公式な反応は、まだ出ていませんが、共産党系の新聞「環球時報」は、「中国に狙いを定めたものだ」として大きく取り上げています。この中では専門家の分析として、「アメリカが中国を軍事的ライバルとして明確に位置づけたもので、こうした変化は中国にとって非常に不利だ」として警戒感を示しています。一方で、「中国は冷静さを保ち、今後１０年は自国の発展を継続させる必要がある」と述べています。また、国営の新華社通信や共産党の機関紙、人民日報など主要メディアも、アメリカがアジア太平洋地域への展開能力を強化していくことについては触れているものの、中国との直接の関連性は指摘しておらず、批判的な伝え方はしていません。こうした報道ぶりの背景には、中国の次の最高指導者としての地位を固めている習近平国家副主席のアメリカ訪問がことし予定されていることから、今の段階で米中関係をぎくしゃくさせたくないという中国政府の思惑もうかがわせています。